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「小説と現実」という演題

 これについて、来月訪日予定の莫言さんに語っていただきたいが、僕もなんとなく考えたくなった。小説と現実は明らかに少しずつ違う何かを持っている。
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 物理的な距離で、つまり視線と思考回路のこと、お互いに影響しあう抜き差しならない関係を、小説家は自覚的、意識的に受け入れなければならない。

 小説は不在物を指し示すときがある。その現場にないものを想像に浮かばせる言語のおかげで、主人公という仮説の行動範囲と破壊力がまったく別の次元に移行したことは何ら疑いようもない。

 しかし、小説のそもそもの起源においては、不在物を指示する前に、その場で共有された現実をイメージする段階があったはずだ。つまりフィクションがつけいる余地はある。

 小説は現実を指示せずにはいない言語の性質を巧みに利用しつつ、その真偽の大きな判断をできるだけ遅らせてゆくところに生じるものだと思っている。やはり、中国最大の作家莫言さんに聞いてみよう。(莫言著 吉田富夫訳 中央公論新社 2008年2月10日発売↓)
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by amaodq78 | 2008-01-26 09:14 | 文事清流

記録して成り立つ文学

 流される時間に人間は文学を感じる。流される時間だけに作家は文学を見出す。無論、ことは「文学」に限らないだろうが。
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 この頃も中国太原市内の作家李鋭とメイルのやりとりをしながら、共著本の対談原稿の編集が進み、おそらく来月までにどうにかそれをカタチにすることができるかと思う。彼と僕が「文学あり」と思うすべてのものは、その本質的な「日本への旅」に担保されているのだ。誌面写真は今月号JAL『翔』に掲載中↑ 旅は終わって記憶しないと旅としては機能しない。
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by amaodq78 | 2008-01-12 10:49 | 文事清流

文を以て友を会す

 香港在住の湯氏は日本で数年を過ごし、この国の独特のサブカルチャーと人間模様を素材にした大都市の諸現象を、外国人の目で鋭く観察して特色を見極めるとともに、奥深いところに日本発の文化創出を心から歎いている。つぎの一節を味わわれるがよい。

 現代の日本には、はなはだしい経済的停滞が見られる。この停滞の影響は、その及ぶ範囲がこの国にのみ限られるものではなく、実に世界の多くの国々にも関係するのである。しかし、その一方、従来の日本文化に存する創造的なものが、世界にとっても最高の価値を有していたということであり、そして日本という文化大国がその創造力を回復し得たことは忘れてはいけないのである。
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 そんな湯氏から自著『整形日本』の序文依頼が入ってきた。無論、大手出版社経由ではあるが、その理由を聞くと、どうやら拙著の愛読者のようだ。

 確かに孔子『論語』にもあった「以文会友」、いわば文を以て友を会すという意味なのであるが、彼とのご縁はこれに適しているかもしれない。

 もうひとつ、湯氏の後輩でテレビ・読書番組のキャスターを務める梁文道という男がいて、日本文化についてしゃべりだすといつも熱入り過ぎるほどである。

 香港と言えば、久しぶりだし、やはり飲む気分になる。
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by amaodq78 | 2008-01-03 14:01 | 文事清流