普通の日本人の魅力

 色々日本の本を読んだけれど、一番面白かったのが本居宣長の『古事記伝』。そこで僕は、1987年から、宣長が一生を過ごした松坂に近い三重大学に留学しました。

 浄土真宗の高田本山のある津市の一身田に住んでいましてね。隣のおばさんがお参りに行く姿を見て、親鸞に興味をもったんです。有名な「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」という「悪人正機説」、ああいう発想は中国人には、考えられないですね。あまりにギャップが大きすぎる。 

 でも、日本人の普通の生活の中で暮らしていると、なんとなくわかる部分があるんですよ。日本のお寺の住職は、保育園の園長先生をやっていたりしますね。日本は、お坊さんが生活の中に入り込むことによって、仏というか南無阿弥陀仏みたいなものが、一人ひとりの人間の中にいるんじゃないか。日本の素晴らしいところは、そこだと思う。

 日本では、墓地が至る所にある。黄昏の夕日が墓地に射して、その美しい光の中で幼稚園の子供たちが鬼ごっこをして夢中で遊んでいる。死者と生者がむつみあうようなのどかさ。現代の中国ではありえない光景です。

(平成18年『文芸春秋8月臨時増刊号』「私が愛する日本」・平成20年2月26日発売『私は日本のここが好き--- 外国人54人が語る』加藤恭子編 P12-16 毛丹青 出窓社)
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by amaodq78 | 2008-02-10 21:09 | 新聞雑誌掲載文
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