北京の暮らしのかたち

 北京は今日から寒くなってきた。空を見上げると、雲はあるのだが、太陽の光が強すぎて雲があるのが見えない。ただビル群の隙間の狭い青空が少し白っぽく感じられる。早朝からあちこち歩き回った。国貿橋から私の母校北京119中学の正門まで、その後は秀水街から日壇公園まで歩く。仲間たちと遊び戯れた子供のころの情景を思い出す。そして大人になってそれぞれの道を歩いている今、生活は空の雲のように、ときに見えないことがある、と思う。
e0060913_7564274.jpg
 地下鉄に乗って、十号線は若者が多く老人が少ないことに気づく。老人はほとんど見当たらない。車内では若い男女が目を引くようなタトゥーをしているのをよく見かけた。とくに黒々したトンネルを抜けるときには、彼らの身体に、タトゥーが発する光がほんの一瞬だけ浮かび上がる。十号線に老人が少ないのはきっと、バスなら無料乗車券が使えるからかもしれない。若者が多いのは、IT関連の施設や店が集まる中関村へ行くからだろう。北京市内には東西にITの街が連なっている。

 復興路のあたりで信号待ちをしているときに、工事現場で手押し車を押している労働者が見えた。 発動機か発電機のように、紳士然として悠々と押している感じがなかなかいい。赤信号になると必ず慌てて走る人がいるが、いったい何のために現代人はこんなに時間に追われてせわしないんだろう。何事ももっとゆっくりしてみたらどうだろう。

 夜、ドイツの友人と食事に行った。昔ベルリンにいたときの話になった。当時ベルリンはネオンが少ない街だと感じた。少なくとも香港のようにネオンだらけではない。食事を終えて二人でタクシーに乗った。途中、あるレストランの前を通りかかった。タクシーの窓から覗くとレストランの外にかかっているネオンサインがいっそう眩しい。しばらくして、友人が突然「あのネオン、ほんとは24時間営業のことだよね」と言った。

 見ると、本来「24時間」と書いてあるネオンの4だけが消えていて、「2 」だけになっているのだ。それがなんだか人が仏様を拝んでいる格好に見えた。
[PR]
by amaodq78 | 2010-12-15 07:53 | 文事清流
<< 日本を知らなければ 経験としての空間 >>